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ストーリー13.大学はどうなるか?大学教員には何が求められるか?:MOOCと反転授業

中原 それでは、皆さん、こんにちは。東京大学の中原です。インタラクティブ・ティーチングのトーク・セッションということで、きょうはお忙しいところ、誠に恐縮なんですが、山内先生にお越しいただきました。よろしくお願い致します。

山内 よろしくお願いします。

中原 山内先生は、デジタル時代というのか、こういう、高度に情報技術が発達した場所での学習っていう問題をご研究なさってると思うんですけど

山内 はい。

中原 そもそも論から、あれなんですが。これ、MOOCなんですよね。

山内 そうです。MOOCで、皆さんが、これ、見ていただいてて。

中原 見てるんです。で、MOOCで見てる人に、MOOCって何?って言ったら、ややこしいんで、まあ、これなんですけど、こういうMOOCみたいなデジタルメディアっていうか、学習のメディアって、いつ頃から発展してきたんでしょうか。

山内 gaccoが始まったのは2014年の4月なんですけど、それ、さかのぼること2年ぐらい前に、2011年の秋にですね、スタンフォード大学の教授たちが、自分たちの授業をネットで公開したらどうなるだろうかって、実験したんですよ。

中原 本当に実験した。

山内 本当に実験した。そうすると、人工知能のコースの授業で、世界中から16万人集まって、スタンフォード大学の授業だったわけですけど、400位以内にスタンフォードの学生が1人も入らなかったんですね。

中原 へえー。

山内 その、400人っていうのは、世界中から、つまり、集まった、スタンフォードより、よくできる人たちが、世界中からオンラインでバーッと集まってきて。要するに、教育が、オンライン使えば国境を超えるっていうことが分かったので、それで、2012年の春ぐらいに、大手であるコーセラとかユーダシティとか、そういうものがバーッと立ち上がってきて、本当、つい最近のことなんです。そういう意味で。

中原 へえ。それは教授たちが作ったんですか。その

山内 そうです。教授たちが作ったんです。

中原 へえ。辞めちゃったんですか。

山内 いや、だから、教授を、シニア・ポストとかなげうってですね

中原 すげえ。

山内 だから、社会的使命だって。だから、大学レベルの地位を、これぐらい世界中の人たちが求めてるんだっていうことで、僕、コーセラのパート・トランス・カンファレンス行ったときに、やっぱり、非常に印象に残ったのは、みんな、ミッションって言ってるわけですよ。

中原 うん。

山内 宗教的なバックボーンが、ある意味、使命感ですね。やっぱり、大学っていうのは、大学にもちろん、通う人たちのものでもあるし、それは大事なことなんですけど、やっぱり、社会の中に位置付いていて、社会で求めてる人が居れば、ここで持ってる知を、みんなで分かち合おうっていう。やっぱりこれがMOOCの一番根本にある考え方だと思いますね。

中原 そうなんですか。それ以前にも、割と、ネットで授業を出しましょうみたいな話ってあったと思うんですけど、それとMOOCとの差異っていうか、違いは何なんですか。

山内 2000年代初頭にMITがオープン・コースウェアっていうのを始めて、それは、授業映像とかシラバスとか、テストみたいなものをネット上に公開するみたいなことを、10年以上やってきて。これは東京大学も含めて、いろんな大学がやってるわけですけど、あくまでも、授業資料を公開してるんで、教育サービスである授業そのものをオープンにしてたわけじゃなかったわけですね。

中原 ああ、なるほど。

山内 それに対して、MOOCっていうのは、実際に掲示板でディスカッションしたり、テストで評価をしたり、最後、合格したら修了書も出るということで、非常に授業に近い形の教育サービスがオンラインで無料で公開されたというところに、非常に大きいポイントがある。

中原 資料の公開なのか、教育サービスの提供なのかってことと

山内 そうですね。

中原 やっぱ、履修書は大きいかもしれないですね。

山内 履修書は大きいですよね。

中原 そうですか。

山内 だから、面白い話があって、さっきのスタンフォードの教員が、ベンチャーとして立ち上げるときに、スタンフォード大学はむしろ反対してたんですよね。やっぱり、大学は、証明書を出すっての、大学の仕事だと思ってるんで、教員とか企業が出すものじゃないっていうふうに、多分、思ってたんだと思います。

中原 ふーん、なるほど。面白いですね。それと前後するか、ちょっと、僕、分かんないんだけど、反転授業って言葉が出てくるじゃないですか。それってのは、まず、ちょっと、どういう経緯で出てこられた言葉なんですか。

山内 反転授業っていうのは、Flipped ClassroomとFlip Teachingの訳ですけど、今まで普通の授業っていうのは、大体、先生が教室の前に立って、基本的な知識を黒板に書いて説明をして、学習者はノートを一生懸命取って。授業中に基本的な知識を習得した上で、応用的な問題演習みたいな話っていうのは、宿題でやってきてくださいっていう。これが今までの普通の授業だったと思うんですけど。さっき、お話ししたように、特に2000年代中盤から、タブレットの2010年以降出てきますけど、非常にネットで学ぶことが民主的にガーッと広まっていったので、そうすると、もう、普通の人でも、もう最初から、講義相当部分は、eラーニングで予習でやってくることができるようになってきたわけですね。そうすると、今まで教室でかなりの時間を取ってやっていた、基本的な知識を習得する部分は、最初は自宅で、オンラインで予習してきてくださいと。今まで、難しい応用問題のところを一人で宿題でやってたわけで、これは難しい応用課題っていうのは、本当はお互いに助け合ったり、先生がヘルプに入ったほうが、よりよく学べるはずなので、こっち側を教室に持ってこようってことで。教室の役割と自宅の役割がひっくり返るので、反転授業って言われるようになったんですね。

中原 なるほど。そういう意味でいうと、知識の伝達とか、自分一人でできることは、自宅でやってねと。一人でやってねってことで。そうすると、空いた時間とかにもうちょっと付加価値の高い、インタラクティブなもんだったり、難しい問題をやるっていうことになるわけですか。

山内 基本的には、より応用的な課題を、まさにインタラクティブ・ティーチングでやるっていう。そういうことになりますね。

中原 なるほど。分かりました。そうですか。今、何となく、僕の中では、そういうMOOCみたいなものが出てきて、それが反転授業って形式によって用いられるようになり、実際、リアルで会うときには、もう少し付加価値の高いことだったり、アクティブになったり、インタラクティブに学ぶことができるってことが、今、起きてるのかなと思うんですけども、こういう時期になったときにね、大学の役割っていうか、大学は今後、どういうふうになってくのかっていうのが、大学人としてはちょっと気になるところなんですが。それは、どうですか。

山内 ひと言で言うと、オンラインの学習がどんどん広がっていくと、オンラインでできることはオンラインでやって、体面の特性が一番生きることを対面でやって、組み合わせ方はいろいろあると思うんですけど。そういう、ある種、ハイブリッドサービスにだんだんなっていくんじゃないかと思います。で、知識習得のところはオンラインである程度、できるので、対面ってかなりコスト掛かるじゃないですか。キャンパスを維持して、人を要するにはり付けて、みんなが集まってくるわけですから。すごいコストを掛けているので、そこは、やっぱり対面じゃなきゃできない、非常に密度が高くって、かつ、そういうので初めてできるような、例えば、物事を深く学ぶであるとか、新しい付加価値を付けるようなことを、想像力を付けるとか、そういう話ですね。できるようにするとか。そういう、今、社会で求められてるっていう、高次な能力育成のほうに、多分、対面がシフトしていて。でも、多分、そういうことやろうとしたら、知識も必ず必要なので、知識習得が要らなくなるわけじゃなくて、それはある程度、オンラインでやって、みたいな形で、だんだん、サービスがハイブリッドになっていくんじゃないかなっていうふうに思います。

中原 大学っつっても、結構、対応でね、いろんな知識レベルっての、あると思うんだけど、こういう、総合研究大学みたいなのは、どんな形式になってくんでしょう。それはやっぱり、大学は探求とか研究とか、そういう中心になってくってことなんですかね。

山内 そうだと思いますね。ただ、探求、研究っていうときに、今までだと、比較的、専門で完全にコースがパッシリ決まってたと思うんですけど、そういうのよりはもう少し自由度があって、例えば、別のオンラインプログラムとか別の体験プログラムで、ある程度の単位を取ってくるとか、カリキュラムが徐々にフレキシブルになっていって、最終的には4年間かけて、それなりの人を育てられるかどうかっていうとこが、すごく問われるようになるんじゃないか。何を教えたっていうよりも、どういう人が育っているかっていうことが、すごく問われる時代になってくるんじゃないかな。

中原 じゃあ、アウトカムっていうか。

山内 はい。まさに。いわゆる達成度、アウトカム評価って言われるやつですね。そっちが重視されるようになると思います。

中原 ある意味で、どのリソース使っても、学ぶ教材みたいなものは、いろいろ組み合わせていって、結局、どういう人材が育ったのっていうのが、最後に言われるようになるってことですね。めちゃ、厳しい時代。

山内 まあ、そうですね。厳しいけど、でも、楽しいとも言えるんじゃないですかね。そこを楽しいと感じるかどうかって、人によるかもしれませんけど。

中原 ああ、そうですか。分かりました。そういうときに、大学教員っていうかね、これから教壇に立つ教員のかたがたとか、まあ、経験の浅い、私のような教員というのも含めてなんですけれども

山内 いやいや、何をおっしゃいますやら。

中原 どういうふうに、役割は変化していくんでしょうね。

山内 やっぱり、大学教員のすごく大事な側面として、やっぱり、専門性があるってことあると思うんですよ。で、この講座、受講されてる方も、いろんな専門性お持ちの方、いらっしゃると思うんですけど、それは絶対、これからも大事にしていく必要があると思うんですけど、今までは専門性があれば、それをきちんと説明できれば、それ自体がティーチングになってきたわけですけど、これからはインタラクティブティーチングって話になると、自分の専門プラス、インタラクティブにやっぱり、学習を支援することができる、で、学びを(****ミトッテ@00:10:09)、その人のアウトカムにつなげていくことができるっていう、もう一つの専門がある、つまり、専門性が2重になってるっていうことが、今後、大学教員だけじゃなくて、教員全般、そうなると思うんですけど。非常に重要になってくるんじゃないかな、なんて気がします。

中原 まず、自分の屋台骨ありますと。それに興味持ってくださるような学習者とか学生の方が居て、そういう人たちに、いろいろやりとりをさせたりして、変化を起こさせるってことですかね。そうすると。

山内 はい。

中原 で、結局、こういう人材、育ったんだよねってことが言えるようになるってことですよね。

山内 ええ。

中原 結構、それ、口で言うの簡単ですけど、結構、タフですよね。

山内 そうですね。多分、こっちのインタラクティブティーチングって、小学校の先生とかは、この専門性って、すごく問われるとこだと思うんですけど、ある種、大学の教員も、小学校の先生並みの、そういう能力を求められるようになってくるんじゃないかなということだと思います。

中原 やややや。あと30年あるとね、これ、利益でないです。

山内 そうですね。

中原 はい、分かりました。じゃあ、最後なんですけど、トークセッションに来ていただいた先生がた全員にお聞きしてるんですが、これ、見ておられる方、多様な方いらっしゃると思うんですけど、最後、山内さんの専門性というのか、視点のほうから、メッセージみたいなものをいただけるとうれしいんですけど。

山内 さっきの、学習者に対し、ちゃんとインタラクティブに支援をして、アウトカムも保障するっていうときに、一番、僕大事だと思ってるのは、学習者を(****ミトル@00:11:49)ことだと思ってるんですよ。やっぱり、学習者が今、どういう状況で、どういう手だてを打てば、どういうふうに変わるかってことを、きちんと見て、ちゃんと判断して、やっぱり、ちゃんと手が打てる。しかもそれが短期的なことだけじゃなくて、長期的に、3年間、4年間見て、積み上げていくってことが大事だと思うんですけど、すごい大変だと思うじゃないですか。でも、これってね、結構、楽しいんですよ。実は。

中原 ああ。

山内 これって、何か育ててるプロセスそのものなので、何か変化していくことが、その場で見えてくるわけですから、実はインタラクティブティーチングって楽しいんですよね。これは、大変だけど、これからこんなことやらなきゃいけないのかって思うんじゃなくて、そうやってインタラクティブティーチングすることを楽しんでもらうってことが、結構、大事かなと思って。楽しめば、そんなに苦にもならないし、逆にいうと、こうやって講座を見ていただいてる人も、ぜひ、やっていただいて、その楽しさを分かってもらうっていうことが、すごく大事かなって思います。

中原 分かりました。そうですね、変化を見ていきながら、次の打ち手を打っていかなきゃならない。インタラクティブを教えるためには。

山内 それには、ですね。

中原 そこに楽しさみたいなのを見いだせるといいですね。じゃあ、きょうは短い時間でしたけども、どうもありがとうございました。

山内 ありがとうございました。

(了)

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