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ストーリー1.理系分野のアクティブ・ラーニング

中原 こんにちは。東京大学の中原です。きょうはトークセッションということで、総合文化研究科の平岡秀一先生にお越しいただきました。どうもありがとうございます。

平岡 ありがとうございます。よろしくお願い致します。

中原 ちょっと、先生のバックグラウンドのほうから聞いていきたいんですが。先生はご専門はどういう領域になるんでしょうか。

平岡 はい。有機化学と超分子化学というフィールドでやっています。

中原 そうですか。すいません。僕、ド文系なんで、有機化学とか超分子化学っていうと、どんな分野になるんですかね。

平岡 有機化学っていうと、いわゆる有機物っていうことになりますので、体の中にある分子がほとんどが有機物質です。あと、超分子っていうと、そういった分子が集まってできるもののことを言っています。体の中にあるいろいろなDNAであるとか、あとはタンパク質であるとか、もしくは感染するようなウイルスとかですね。そういったものも実は、小さい構成要素から集まって、自己集合っていう現象を経て得られますので。そういったものが自己集合です。ただ、私がやっているのは、そういったような生物の分子に対してアプローチしているというよりは、自分たちで有機化学の力を使って分子を作って、それで人口的にそういったような集合体を作りましょうとか、あとは、そういう集合体がどうやってできるのかっていうことを調べる研究を、実際に今、行っています。

中原 そうなんですか。そうすると、割といろんな技術とか、いろんなものを構成する基盤的な技術っていうか、基礎的な考え方ってことになるんでしょうか。

平岡 そうですね、はい。生命系でも使われますし、基盤技術として言われたとおり、技術ですね。その中にも分子技術の一つとしては、非常に有望な技術の一つとして捉えられています。

中原 Xそうですか。先生は理系の分野でアクティブラーニングって、非常に能動的に、学生が主体的に関わるような授業を、去年辺りからなさってるというふうに聞いたんですけど。一般にアクティブラーニングっていうと、どっちかっていうと、文系、理系って分けてくと、文系のほうが結構授業数として、割と多いのかなって印象なんですが、どんな授業を、先生、去年からなさってるんですか。

平岡 去年の冬学期から、アクティブラーニングで自然科学を楽しむという講義が、高度化機構から出されて、それの全13回のうちの2回を科学として担当するという機会に恵まれまして、そこで二つをやりました。それで、私がやった2回は、いわゆる専門化学ですね。最先端の化学に触れながら、そこの中でアクティブラーニングをやって、楽しもうと。そういうことで。

中原 なるほど。すると、先生の今、言われた講義っていうのは、大学1、2年生を対象にアクティブラーニングで自然科学の基礎みたいなものを学ぶというような、学部生向けの授業ってことになるんでしょうか。

平岡 そうなります。はい。ただ、内容は専門の内容を盛り込みます。実際に、それぞれの研究者が実際に自分が取り組んでいる、最近の先端研究の一部を紹介して。それですと、普通は1年生には理解できないので、それをなるべくかみ砕いた形で説明し、そこまでですと、そういった科目っていうのは東大の中でも出てるわけなんですが。が、そこに、もう1回、2回分ありますので、その2回目は、その内容を踏まえて、学生さんたちにディスカッションをやっていただく。ディスカッションだけをやっていただくっていうことがございました。

中原 そうですか。なんか、理系っていうと、学ばなきゃなんないことがたくさんあって、そのたくさんの内容を学んでいただくために、割りと座学でガーッとやってくイメージが。まあ、教え込むというのか、教えるべき知識が多いっていう印象があるんですけど。そういうディスカッションみたいなことって、結構やられることなんですか。あんまりないんですか。

平岡 はい、やはり、今、おっしゃられたとおり、いわゆる理系の大学までの科目の扱いっていうのは、学生実験とか演習ということを除けば、ほとんどが教授から学生に対する情報の提供という形になります。ですので、完全に全部教えるっていう形になるわけなんですけども、実際、理系のほとんどの研究室は、大学院以降はディスカッションベースになります。例えば、輪読とか、文献を紹介するとかいうことになりますと、学生が準備をして、それを紹介をして、で、周りの大学院生や同輩の学生、あとは教員とかが混ざって、質問をし、やりとりをするってことですので、もともとは理系も、本当はアクティブラーニングという形を通して、学問を学んでいき、より、深い理解を図るっていう活動が本当だったんですね。

中原 なるほど。そうすると、ある意味で研究の現場はアクティブラーニングなんて言葉は使ってないけど、議論そのものをベースで。だけど、初年次とか、割と学部生の若い頃には、そういう授業はあんまりなくて。すると、ギャップが結構、激しいってことになるんですかね。

平岡 はい。そうですね。やはり、文化系ですと、アクティブラーニングでディスカッションされようとする問題が、いわゆる、社会的な問題だったりするんで、少なくとも、大学に入った時点で、ある程度、議論の入り口には居る可能性があるわけなんですが、理科系の場合は、ディスカッションするための言葉、また専門用語、もしくは、その内容っていうものを把握していないために、いわゆる、教員とか大学院生とディスカッションするためのギャップが出てしまうと。一般的には、そこを埋めるために4年間があったりして、ですので、最初はそういうディスカッションらしいことはあまりできずに、たくさん教えてからじゃないといけないから、そういうことはやめましょう。もしくは、そこの中にたくさん授業をやって、まずは教えて学ばなければいけないよねというものが、恐らくあったんだと思います。

中原 なるほどね。そうすると、ひたすらコンテンツを積み込むってことになるんですね。

平岡 はい。

中原 でも、どっちかっていうと、それもやりながら、後にやるであろうディスカッションというものを、前に少し倒していきながら。1年生の頃から経験できるっていうのは、いいことですね。

平岡 はい。私もディスカッションする力というのは、実際に年齢を問うものではないと思いますので、そういう意味では、大学以前から当然、始めてもいいわけで・・・。

中原 そうですね。

平岡 はい。そういう意味では研究者になるときに知識がたくさん付いたら、それをやるというよりは、他の、その時点でできる内容でディスカッションするというトレーニングを積んでおくほうが、非常によいと思います。

平岡 なるほど。なんか、聞いたところによりますと、東大のほうでは、来年からですか、初年次ゼミナールっていうのが入って。これが理系で100コマの必修授業で、かつ、アクティブラーニング形式って聞いたんですけど。これは、どんなことをなさるんですか。

平岡 そうですね、理系では、アカデミックスキルとか、あとライティングと書くスキルとか、プレゼンテーションのスキルとかですね、そういったものを身につけましょうということなんですが、私も来年から担当するということで、今年の夏学期に、既にパイロット講義、パイロット授業というのを実施しました。その中では学生さんたちと一緒にですね、学生さんに自己集合を考えましょうという、私の専門に近いことをやらせるわけなんですが、その中でも化学のバックグラウンドは、いわゆる専門としては持っていませんので、彼らが大学入学時点で持っている知識を使いながら、その中でなるべく彼らが積極的に取り組まれるような課題を導入して、答えのない問題って形に取り組ませて、そこで学生間でディスカッション。あとは、論文を彼らに書かせて、それを学生間で、いわゆるピアレビューをさせて添削をさせるとかですね。あとはプレゼンテーションも自分たちで発表し合って、それで友人の発表にコメントをするとかですね。そういったことをやらせています。

中原 へえ。なんか、本当に研究者のアーリーエクスポージャーっていうのかな。研究者として将来やるだろうでことを前倒しで将来やるであろうことを前倒しで見せてるっていう感じなんですかね。

平岡 そうですね、確かに、専門でもやってる先生がたからすると、ある意味ではおままごとのように見えるような、内容はそうなんですが、ただ、やっているプロセスを学ばせることが重要で、実際に受講生からの反応としては、相手の文章を構成するということをやったりとか、構成してもらうと、始めて自分が、いかに完璧ではなかったかと、つまり、最初は十分書けていて、ここにもう、そんなに大きな訂正するところはないだろうと思って書いてきたものも、実際に見てもらうと、そうでもないといって。あとは、最初のうちのピアレビューは、学生間であまり言わないですね。やっぱり、遠慮もありますし、あとは落ち度があまり見えてこない。それで、教員も少し入って、ここはこういうとこ、直したらいいですよというアドバイスをしていくと、ああ、こういうのあるのかってなっていくと、最後のほうの回は、学生さんと学生さんの間のピアレビュー、やっぱり時間がかかってきて、かなり細かいところまで、相手に指摘ができる。そういう意味ではかなり視野が広がっているんだと思います。

中原 だんだん、やっぱり上達してくるんですね

平岡 はい。

中原 今回のこのビデオ、見てくださってる方は、これから大学の教員に立ちたいっていう若い大学院生の方も含まれるんですけれども、先生はこれまで、研究者としても第一線で働かれてて、で、教えることっていうのをやってらっしゃると思うんですが、そういうかたがたにね、もしこれから大学の教壇に立つ上で、こんなところ大事だよとか、あるいは、こんな姿勢って、あるといいねっていうことが、もしあれば、ぜひ、最後にお話が聞きたいんですが、いかがでしょうか。

平岡 そうですね。やはり、きょうのお話にあったように、アクティブラーニングの重要性っていうことを考えますと、アクティブラーニングってやっぱり、まさに学生がアクティブっていうだけではなくて、教諭もアクティブになってなければならないということになっていて・・・。

中原 そうですね。

平岡 要は、授業を教員が明確にコントロールして、授業時間の中の、この時間にこれをやり、これをやりっていうことを計画してしまうと、いわゆる、かなり静的だと思うんですね。そういう授業というの。今、動的になってアクティブになってるっていうのは、学生と教員の間でもインタラクティブになっているので、ということは、教員が用意したものと同じものが、その時間内に達成できない、もしくはシナリオが変わってしまうことが往々にあって、そういう意味では、新しく挑戦する先生がたはやはり、要は、慣れてないと、計画したことを計画した時間に、ちゃんとその中で、その順番で終わらせなければならないし、終わらせたいと思ってですね、学生はそういうふうに誘導したくなってしまう気持ちもあると思うんですが、そこをもう、抑えてしまって、学生から出てきた反応とかですね、そこにもう、リアルに、方向が多少変わっても、寄り道をしてしまってもいいぐらいの気持ちで、学生と一緒に、その場で、要は現場でやれるような形。そういう意味では臨機応変な力が求められてるっていうこともあると思いますが。

中原 うーん、なるほどね。

平岡 そうすると、ちょっと、ハードルが高くなってしまうと思うんですが、ただ、考え方を変えれば、学生と一緒に問題を取り組もうって形で、こちらから教えて、何か、もう、どっかに連れて行かなきゃいけないって思うぐらいにですね、授業時間中で、ディスカッションをこのぐらいの時間に置きましょうとか、これをやりましょうというような、いわゆる、大枠を決めておいて、その中の流れはですね、学生との中で一緒にやりながら、そのときごとにやっていこうぐらいの気持ちのほうが、要は、教員の心の余裕が大切ですので。心の余裕を持てば、臨機応変に対応できますから。そこを大切にしていただきたいなと思います。

中原 今、授業の中で、起こってきた出来事のものの中から、学生と一緒に、ある意味でインプロみたいにね。インプロビゼーションに授業を作っていくと。そういうのが、ある種の臨機応変さが求められるんだけど、そこは多分、学生と一緒に楽しむってことなのかなってことですかね。

平岡 そのくらいの気持ちでやらないと、なかなか自由なマインドでできないのではないかというふうな気がいたします。

中原 はい。分かりました。ありがとうございます。

平岡 はい、ありがとうございました。

中原 きょうは平岡先生にお話をいただきました。以上です。ありがとうございました。

(了)

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